プロローグ


突如として出現し、人類を滅亡の際に追いつめた襲来者、天人てんじん

醜く巨大な彼らは、あらゆる呼びかけを無視し、破壊の限りを尽くした。
人類の都市は次々と焼き払われ、地球は容赦なく蹂躙されていった。
森は焼かれ、耕地には毒がまかれ、海は油の膜に覆われた死の世界となった。

絶望以外なにもなくなったそのとき、人類を救う光が現れる。

選ばれし乙女のみが宿せる奇跡の宝石。
その力をもって、天人を討ち滅ぼした彼女たちは『宝石姫』と呼ばれた。

やがて人類復興の象徴たる学園都市『星華ルネサンスポリス復光』が完成。
『復光学園』と呼ばれるそこは、
マジカルハートの適合者たる『宝石姫』として
人類を照らす新たな光とならんと、
世界中から選りすぐられた乙女たちが集う園となる。

しかし 、それらは すべて偽り――

全てを奪われた黒き令嬢【禊ヶ原みそぎがはらトワ

マジカルハートの真の発見者であり、
学園都市の創造者である母は殺され、
マジカルハート適合の実験体とされ異形と化した妹は、自らを殺してと懇願した。

― 敵は学園都市を支配する“星徒会せいとかい
― 全てを奪った裏切り者の後継者である星徒会長【暁宮あかつきのみやエリス

トワは妹の形見であるマジカルハートより生み出されし黒き炎を身にまとい、
漆黒の復讐劇へとその身を投じていく。
黒き宝石姫として、マジカルハートを持つ乙女たちと華麗なる『舞斗』を繰り広げる。

母と妹の仇を討ち、マジカルハートを全て取り戻す、その日まで――

用語集


マジカルハート
眩いばかりの輝きを放つ、聖なる力を秘めた宝石。
その曇りなき結晶は、人類の持つあらゆる武器を阻んだ天人すら退ける。
選ばれし乙女だけがその真なる力を引き出し、『宝石姫』へと変身することができる。
物語の主人公たる禊ヶ原トワが持つ『セレンディバイト』もその一つであり、これをもって漆黒のドレスと黒炎の鞭を身に纏い、復讐へと身を投じていく。

ほかにも『ムーンストーン』『ルベライト』『ラピスラズリ』『シトリン』の四つが、現存するマジカルハートとして公認されている。

元は研究者であったトワの母が発見したものだが、学園都市を実質的に支配する暁宮一族によって、その成果は全て奪われてしまった。
トワの持つ黒きマジカルハートは、妹がその身を犠牲にして託してくれた形見でもある。
天人てんじん
栄華を極めていた人類の歴史に、突如として出現した異形の災厄の総称。
あらゆる呼びかけに応じず、またあらゆる抵抗を無として破壊の限りを尽くした。
その神にも等しい力の前に人類は為す術がなく、滅亡の淵へと追いやられていく。
あるものは空を、あるものは海を、あるものは大地を汚し、蹂躙していった。
その絶望は『マジカルハート』の光臨により終止符が打たれ、天人は撃ち滅ぼされた。
しかし、その眷属である『天人の幽鬼』は未だに健在であり、脅威として残されている。
学園都市
『星華ルネサンスポリス復光』
天人によって滅亡の縁まで追い詰められた人類。
その復興の象徴として建造された学園都市。
都市の大部分を学園が占めており『復光学園(ふっこうがくえん)』と呼ばれている。
マジカルハート適合者の育成を目的としており、世界中から集められた候補者である乙女たちが、日々たゆまぬ努力を続けている。

未だに続く『天人の幽鬼』の襲撃からの備えとして、深いすり鉢状の構造をした学園都市の外縁部には、高い防壁が築かれている。
まるで城壁のようにそびえ立つ学園正門や、豪奢なガラス張りの天井を持つ大講堂、空中を渡された回廊に広大な庭園と、人類の文化を誇るかのような造りをしている。

創造者は暁宮カオルとされているが、その基礎設計はトワの母によるものであり。
これもまた暁宮一族により簒奪されたものの一つである。
星の時間
「月がおちてくるまえに。
 世界がおわってしまうまえに。

 わたしたちは何度でも咲く花。
 わたしたちは世界をゆるがし。
 わたしたちは世界をすくってみせる」


『復光学園』で毎年執り行われる、旅立ちの儀式。
人類のこれまでとこれからを見据えつつ、その未来のために羽ばたこうとする乙女たちの門出を祝福する。

救星主である聖女を演じる星徒会長と、天人を演じる卒業生の中から選ばれた代表星徒が、『舞斗』なる舞台劇を繰り広げる。

清らかなる合唱が響く中、救星主は天人を打ち倒し、世界を救い人類を照らす光となる。