

ヒーローもので敵が味方そっくりな存在をぶつけてくるのはお約束。
そして大抵の場合、ヒーローは苦戦するのだ。
「くっ。くそぉ。は、はなせぇ」
敵は特殊戦技兵。いや、それとそっくりな何かだった。
力場の気配まで完璧にコピーされていた上に、敵意というものを持っていなかった。
敵意の気配には野生の勘で対応できるヒーローも、魔法少女そっくりな上に敵意までない相手には接近を許してしまったのだ。
特殊戦技兵が展開するのと同種の力場によって、ただでさえないに等しいリゼットの防御はあっさりと中和され、反撃する間もなく、蛇のようにざわめく艶やかな赤毛がリゼットを拘束する。
だが、力場の展開さえできれば、こんなものを振りほどくのはたやすい。そしてリゼットの展開力(思い込みともいう)は、人並み外れて強力だった。
全身が光を帯びる。
「地球人をなめるなぁ、って、うふぁぁっ」
不意に乳房をもまれて、リゼットは嬌声をあげ、光が消失した。
いつのまにか背後から魔法少女に似た何かがもう一体迫ってきていたのだ。
「は、はなせっ」
だがそんな言葉で、背後からの手がやめるわけがない。ねっちりと乳房を責めてくる。
「う、くふぅぅ、ひ、ひきょうだぞぉっ、あ、ああんっっ、ん、くふぅぅん」
リゼットは特殊戦技兵として戦略級に強力であったが、それに比例して敏感だった。
ほそくしろい体からは力が抜けてヒクヒクともだえはじめてしまう。
戦闘力をうしなったヒーローに、魔法少女のようなものがさらに群がり、宇宙空間に女の裸体が咲き乱れる。
いや、ただの女ではない。
リゼットに群がる女達は、ほとんぼすべて体のどこかを欠損させて、そこからぬめ蒼い触手をはやしているのだ。
無数の蒼い触手がリゼットの体に絡みつき、その全身に絶え間なく刺激を与えてくる。
「あ、だめだぁ、あ、そんな、ふひぃん。キルケぇこれは浮気じゃなくてぇ、ひゃぁぁふぅっっ」
触手はあくまで優しく、だが断固として彼女を捉え、その体を徐々にほぐし開かせていく。
いつしか、リゼットの脚はだらしなく開き、無毛の股間は汗にまみれ、鮮やかに充血した割れ目の中まで開陳している。
ヒーローはよほど高ぶっているのか、割れ目からあふれ出す愛液は濃くどろどろだった。
開ききった割れ目に触れるか触れないかの所を、触手が執拗にこすり立てる。
そのたびに恥ずかしげもなく開かれた割れ目から、どびゅっどびゅっと濃く粘り気さえ帯びた愛液があふれこぼれる。
「あひぅあんっ、き、きもちいいっ、そこだめぇ、ひゃっひゃぁぁんっっっ」
ビクビクと痙攣しはじけそうなほど勃起したクリトリスに、細い触手が絡みつき包み込み、隅々までなでてくる。
「ひぃんっ、ひゃうっ、ひん、ひぃぃんっっっ、でひゃうっっでひゃううっっっ」
汗にまみれた足指が反り返り、ふとももがキュンキュンと切なげに震える。
充血した乳首は熟れて痛む寸前の莓のようで、群がる異形な女達のデザートとして飾られているようだった。
今や、ヒーローの発情した体自体が、敵にとっての晩餐でしかない。
もし群れる異形の女達に敵意があれば、ヒーローをヒーローたらしめている反応力が、反射的に力場を展開させたろうが、彼女らに敵意はなかった。
ただひたすら、リゼットの快楽に奉仕し、気持ちよくすることだけに特化してきたのだ。
そこにあるのは、欲情にどろどろに溶け合ってひとつになろうとする意志だけだった。
敵は何千何万という損害をただ漫然と積み重ねてきたのではなく、この最強のヒーローを徹底的に研究してきたのだろう。
何千何万という捨て駒を使って彼女の弱点を探り出していたのだ。
いやそれは損害ですらなかったのかもしれない。敵は人間の生に比べれば無限に等しい時間と物量を持っているのだから。
「あうぅぅん、あひっ、だ、だめっ、こんなのっ、ボクはボクはっ」
触手はキスするように唇をなで、ねっとりとした動きで舌を絡めてくる。
リゼットの眼は、とろんと潤み、焦点さえぼけてきた。もう陥落寸前、いや陥落していた。
だが、ぼんやりした視界に、群れる異形の女達の触手が絡み合い、巨大な一本の触手に寄り合わされていく光景が写った時、リゼットの脳は危険を察知し覚醒した!
それは特殊戦技兵を何人も屠ってきた肉器官。彼女達から聖杯と命を奪い取る最悪だ。
「ボクはヒーローだぞっ。地球人をなめるなぁ! お前らなんかぁっ」
その汗まみれの肉体は閃光をあげ、群がる異形の女達を吹き飛ばす――筈だった。
「あひぃぃぃぃぃぃっっっっっっ! ああん、だめだめだめなのにぃぃぃぃぃ!」
だがヒーローが発したのは、口からこぼれる情けない雌声。
敵は、彼女のだらしなく開いた股間に、まずは先触れの触手をぶちこんで来たのだ。
特殊戦技兵殺戮器官より細めとは言っても、人間の雄のペニスよりは遙かに太いそれを、牝として雄を受け入れる準備が出来ていた雌穴は喜びさえもって受け入れてしまう。
「ひっ、ひきょうだぁっ、こんなきもちいいなんてぇ、ひきょほぉぉぉぉぉぉん」
その台詞とは裏腹に、顔は快楽でだらしなくとろけ、舌まで出してあえぐ様は、もはや単なる躾けられた牝だった。
激しく猛スピードで奥までかき回される度に、触手と異形の女に囲まれた体は激しく痙攣し、つなぎ目から愛液をほとばしらせる。
異形の女達も、海草のようにゆらめき、リゼットと共に快楽の音楽に群舞している。
「ああ、いいっ、よくないっ、あ、ああん、ああああん、あひっもうもうああっっっっああっっっっっっっっっっっっっっっ」
足の先から頭までを激しく弓なりにそりかえらせて、リゼットは絶頂してしまった。
触手の森は、ぐったりしたヒーローの四肢を、優しく断固として拘束すると、その股間を大きく開いていく。
股間からは触手が、ずるずると引き抜かれ、割れ目を目一杯開いた形で固定した。
ぽっかりと開いた膣穴があらわになった。
濃い愛液をこぼすそこは、すでに陥落し、あとはとどめを待つばかりにしか見えない。
より合わさった巨大肉器官は鎌首をもたげ、ヒーローの牝の部分に狙いを定め近づいていく。
ヒーローはこのまま聖杯をえぐり出され死という結末を迎えてしまうのかっ!?
ヒーローの運命や如何に!?
君が負ければ地球も終わってしまうのだ。
ああ。地球の運命や如何に!?
「っていうすごいエッチな夢みちゃった!」
「そういうのは話すんじゃんありません!」
「ちなみにBGMは『ジンギスカン』!」
「最低ですわ!」